雑記

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出版業界の縮小は読書離れなのか

出版業界でもITシステムは使われている。取り次ぎも本屋にもITがなければ、より多くの労働が必要になる。しかしもっと効率的にできることはある、と思ってしまう。やはり導入コストの存在は大きいのだろう。

近年は業界縮小から紙離れと言われる。インターネットの登場以後、多くの娯楽が生まれたので、本以外を消費するようになった。縮小のひとつの要因だと思う。しかし、それだけを原因として思考を止めてしまうのは、もったいなく感じる。

 

ぼくの考えだが、出版市場はざっくり人口に影響されると考える。そして読書数が多い世代はおそらく15歳~40歳くらいまで(経営者や学者は別だが)。学業や研究、仕事で必要なるし、活動量が多いのは若い世代なのだから、まあそうなるだろう。
もちろんスマホなどのツールにより全体的な読書量は減少しているだろう。だからと言って全体への影響を「若者が読書をしない」という、あるクラスターだけが持っている特性と結論づけるのは早計じゃないか。たぶん年配者も同様に読書率は低下しているはず、バビロンの粘土板の若い者批評のように。

 

さて、人口の考察に戻ろう。1995年は2.6兆円の業界規模だ。その20年前の1975年は第二次ベビーブームだった。つまり、戦後で出生数2位の世代がメインの読書世代である20-40歳になったので最大規模になったという考えだ。
第二次ベビーブームから人口は減少しつづけたので、一考に値するだろう。その後、10年平行で規模を保ちつづけたのは、産業発展によるものだろう。地底人のように狩猟生活なら勉強の必要はないが、先進国はあらゆる仕事が生まれる(もちろん廃業するものもあるが)。
となると、以降の約20年間で出生が原因で2000万人くらい読書人口は減ったのではなかろうか。であれば、シュリンクの半分くらいの原因になるかもしれない。

 

問題はあとの半分なのだが、先進国病とでも言えよう。構造に文句を言っても仕方がない。とりあえず、コストカットの方向で考え、残ったリソースを品質向上とプロモーション、企画づくりに生かす感じになるのか。

企画という意味では、松岡正剛さんのたしか丸善でやっていた本屋構想は時代を先取りしていると思った。数年で閉店したが、本のあり方として新しい定義を生みだしていたと感じる。本も「モノ」や読書体験から、エンタメ化する日も近いのか。読書体験にも値段を付けて、高・中・大衆のように階層化サービスにするかもしれない。
パレードの法則のように高級路線の構想を早めに考えた出版事業者が成功すると思う。

ラスクルのような低コスト印刷サービスのようなものが生まれてしまったら、と思うと恐ろしい限りである。