雑記

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漫画の成長にみる出版市場の希望

質量保存の法則や等価交換は、ある側面では正しい。マルクスも言うように、価値とは労働の総量である。いわゆるコスパの良い商品とは、品質より価格がお得と感じるものだ。それは高級ブランドも100均も、どちらも当てはまる。ただし、高級品はそれを感じられる感性があることが条件になるように思うが。

さて、出版業界の気になった項目を箇条書きにまとめてみた。

 

出版市場の変遷
・1950年は約300億円の市場規模であった
・60年には1000億円に増加し
・76年には1兆円マーケットに成長した
・96年にピークで2、5兆、
・~2006年ごろまで約2兆円規模を維持
・その後は減少を続け、2021年は約1.6兆
と山ありのグラフになる。

 

販売ルート別の売上
・書店ルートが約8000億円
インターネット書店ルートが約2500億円
電子書籍が約5000億円
・考察として、プラットフォームがビジネスに及ぼす影響ががわかる結果に
 
電子書籍の成長が目覚ましい
マンガ市場は95年に約6000億円のピーク
・2010年前半には約3000億円まで減少
・しかし、電子版の市場が開拓さえたため現在は約6000億円に市場が戻りつつある(紙とデジタルの割合は半々)
 
娯楽市場のエンタメ市場のひとつが、出版市場
・娯楽は約72兆円
・エンタメは約12兆円
 ・出版は約1/5を占める。
 ・その他のエンタメセグメントは動画(約4兆円)
 ・音楽(約1.3兆円)
 ・ゲーム(約1.7兆円)
デジタルコンテンツが成長していると言える
 
趣味に関するアンケート
・読書人口は約4000万人
・映画人口(約0.2兆円)は3500万人
・ゲーム人口は約2000万人
※数字に直結するわけではないことがわかる
 
フィジカルコンテンツとデジタルコンテンツの対比
・ここ5年で9:1から7:3ほどの割合になっている。
※エンタメ市場はむしろ市場拡大している
 デジタルコンテンツにマーケットを奪われたので、出版市場は減少してる
 
 
官庁の読書アンケートから見る世代パラダイム
10〜40歳まではほぼ同じ比率の読書率で推移。やや若輩の方が比率は下がるが、それは人口割合が高齢化してることが原因だと思う。50代に入ると5%に読書率が下がる。そして定年以降は10〜20%急激に下がる。
10ー40までは比率は同じだが、意識調査で「読書するべき時期」は10代が90%を占めており、ついで20代が10%で残りの世代は数%と落ち込む。
また、「読書は好きか」の割合は若年層が高く、年代が上がると下がる。
 
このことにより、ターゲットは20代中心かつ、10代も読めるようにする。そこに30代も参入可能という構成が望ましいのではないか。
また、高齢者本は結局マーケットが小さく、高品質のものがつくられづらい。あくまで著者は高齢者だが、若年層の課題解決ができるという建て付けが必要だろう。
結局、知能が低い大衆に媚びて本をつくろうと、本とは知恵の結晶であるため、低品質になり売れなくなるジレンマである。つまり、楽に逃げずに虚心坦懐にクリエイションするしかない。
 
とはいえ、全世代で読書をしない割合は増加傾向にある。おそらく、情報の入手を書籍から、インターネットや動画へ移行したのが原因だろう。情報の多様化とともに、書籍である意味を持たない書物は淘汰される。
これらが2005年以降、出版市場が縮小している要因となる。高齢社会がいちばんの近因ではあるが。
 
まとめ
IT革命により情報の氾濫は起きている。そして技術が便利になれば、知識の代替えにもなるようだ。それはエンタメ市場にも影響を与える。身体性よりデジタル性の娯楽市場が拡張している傾向が続くだろう。
出版業界として考えることは、デジタルエンターテイメントが主流になるなかで、どう読書体験という高級ブランドを構築するか。
デジタルという薄い娯楽は飽和状態になりつつある。なので、デジタルの代替えではない、アナログ的なエンタメを本で演出できれば文字もののシュリンクも留まると思う。それは漫画の表現や媒体としての強みが握っているだろう。