雑記

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将棋プロ棋士の直観と専門スキルの養成

ビジネスでは、論理力を持てと言われる。論理力の考え方には、大きく分けるとふたつある。

ひとつは、演繹的に考えること。いわゆる三段論法だ。たとえば、人間は死ぬ。ソクラテスは人間だ。ゆえに、ソクラテスは死ぬ。このように普遍的な事象を証拠に、三段階で答えを出すのが演繹法だ。なので、前提となる普遍的事実が大事になる。

もうひとつは帰納法である。こちらは具体的数値を集計した結果、答えを導き出す論理法である。たとえば、35歳以上の出産は、染色体異常とダウン症率が高くなる。これは、35歳以上の出産を一人ひとり計測した結果、染色体異常とダウン症率が高くなるとという答えを導き出したのだ。もちろん、例外もあるので絶対ではないが、多くの場合に当てはまるので、説得力が増す論理法だと言えよう。

 

直観は論理的か

プロ棋士は直観が優れていると言うが、なぜか。それは、長期間の修練によるものだ。では、なにを長期間で身に着けたか考察しようと思う。

ひとつは、膨大な記憶力から正誤を判断し、答えを出している。つまり、数多の知識によるものだ。

もうひとつは、将棋の世界で鍛えてきた、将棋に勝つためだけに使う思考法である。つまり、将棋という戦争のなかだけで通用する論理的思考力である。もちろん、その他に転用可能な思考でもあるが、直接的ではない。iPS細胞の研究で有名な山中教授は、孫正義氏になれないと言えばイメージしやすいだろうか。その世界でトップクラスの頭脳の持ち主でも、闘う土俵が違えば、違う世界だということだ。ちなみにこの思考法は、将棋で一流になるためには10年かかると言われている。

 

まとめると、プロ棋士は10年かけて膨大な知識と、将棋世界において一流の思考力を身に着ける。それは瞬時に回答を導き出すことが可能だ。

これを一概にビジネスの世界に置き換えることは現実的でないが、ひとつの指針とすることができるだろう。能力を身に着けるのは、量より質だと言う。これは間違っていないが、大事なことが抜けている。量より質のステージに移行する前に、まず量をこなさなければならないのだ。福沢諭吉の名言のように、冒頭のことばだけで判断してはいけない。

人が持っていない能力やスキルを身に着けるには、なにごとも時間をかけ、試行錯誤しなければならない、という教訓にになった。ライターとして、まず書けよ、と。