雑記

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「シンゴジラ」に見る行政の意思決定プロセス

 2016年に新世紀エヴァンゲリオンで知られる庵野秀明が監督の「シンゴジラ」が公開された。水素爆弾を題材にした初代「ゴジラ」のように、政治的メッセージを込めた映画となった。本作は、3.11をモチーフにしており、日本の政治システムを垣間見ることができる。

 本作の見どころは、ゴジラの戦闘シーンではなく、不測の事態が起きたときの官僚・政治家たちの行動である。庵野監督は、現実に即した描写を作るために、3.11の記録資料の読み込み、各省庁の災害担当へのヒアリングを行った他、当時の内閣官房長を務めた枝野幸男民主党幹事長や小池百合子元防衛相などに取材を実地したとされている。

 映画の印象的な部分としては、行政の意思決定プロセスが如実に描かれているとこだ。実際のアクションを起こすまでの会議・手順の多さ、メディアへの対応など、実際の政治と遜色なく思える。また、第二波のゴジラによる津波も、ある程度時間を経たにもかかわらず、避難が完了していないなども、意思決定の遅さを表している。

 本作では、最後に一応の解決を見せたが、現実ではどうだろうか。今一度、過去の出来事を無駄にしないために、現行のシステムや意思決定のプロセスを考え直すこともよいだろう。「シンゴジラ」は、そのためのきっかけになってくれるだろう。