雑記

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『僕は君の「熱」に投資しよう』佐俣アンリ 書評【前半】

独立系ベンチャーキャピタル「ANRI」の代表パートナーである佐俣アンリ氏の著書。本書は、ビジネス哲学書に分類されるだろうが、所々にノウハウも書かれている。7DAYの講義の名目で、7章立てしてある。ここでは各章ごとに気になったことばと、筆者の考えを交えて書いていく。

 

DAY1

アンリ氏は「若い強い熱」が必要だという。ロジックで説明できなくていい、うまい言い回しでなくていい。そんな自分の欲求を自覚することが、はじまりだと思う。

また「自分の勝てるゲームを探すマインドをもて」ともいう。孫正義氏は、本当は絵描きになりたかったという。だが、彼はビジネスの世界を選び、トップクラスの時価総額を誇る企業を一代で築いた。

筆者はライターになろうとしているわけだが、たしかに自分でもなれそうだなと思った(勉強はじめると、いかになめていたか実感したが)。コンサルティングでも、デザイナーでも、研究職でもなく、文章を書くことを選んだわけだ。格別の頭脳を持たず、絵心はなく、寝る間を惜しまず三日三晩同じことを続けることもできない。ただ、ことばのチカラに日々衝撃を受け、そんな文章を読むのは好きだった。だから、この世界が勝てる土俵だと。

 

DAY2

「成功の9割は場所で決まる」らしい。現実を直視すると、効率の悪い努力に意味はない。なぜなら、結果がついてこないからだ。さらに、才能よりも、死ぬ気で努力するよりも、「いるだけで成長できる正しい場所を見つける、見極めること。そして自分を位置づけれれば、成功は同然」だそうだ。その後、「クリリン効果」という考えが登場する。なぜクリリンは、地球人最強足りえたかと。

クリリンを知らない読者に補足すると、彼は鳥山明氏の著書「ドラゴンボール」に出てくる主要キャラクターのひとりだ。その世界の特徴は、いわゆる主人公と敵キャラが強くなりすぎることにある。なので、クリリンは後半になると、作中最弱キャラの部類だ。が、地球人(人間)のなかでは、最強なのだ。

つまり、なにが言いたいかというと、トップ集団にいると勝手に成長してしまうということだ。ゆえに、才能も努力も必要ない。それよりも「正しい場所」を見極め、その場所に居続けることが、効率が100倍いい。カバン持ちも同じ部類になる。完全な蛇足だが、筆者もカバン持ちのチャンスはないかと、虎視眈々と狙っていたりする。

 

 

DAY3

「頑張るのと、成長は別」らしい。3分であろうと、3年であろうと結果が同じなら大差はない。どれだけ死ぬ気で働いても、形にならないなら意味がない。なぜなら、事業の成長だけが起業家の成長指標だからだそうだ。

また「結果を受け入れず、人間的な成長とか美学やビジョンなど、あやふやなものを相手にしている起業家は、いつまでも成長しない」という。

ライターに置き換えると、どんなに本を読んでも、記事をつくっても、書いたものがおもしろくなければ成長してない。量をこなせばいつかは成長する。それは幻想だ。筆者が言えたことではないが、文章は、書いている人間の本質がわかる。にじみ出てしまうと言っていい。取材をちゃんとしてない、わからないで書く、読者をバカにしている、勉強不足などすぐバレる。頭の痛い話だが、常に念頭に置いておかなければならないと強く感じた。

 

人柄のことも書いてある。「人格者」のほうが、色々「得」らしい。類例としては若干ズレるが、ビジュアルがいいほうが受けがいい、のような話だと思う。仮に能力値や社格が同じだとして、20代の青年と50歳のおっさんが営業に来たら、どちらから買いたいか。社長が毒舌家であるか、誠実な話し方なら、どちらの会社が信用できるか、ということだ。

 

DAY4

「直感というと非科学的で、言語化するのを放棄しているだけと思われがちだが、言葉も直感も、基本的には脳の思考だ。

直感は、言語化が追いついていないだけで、自分の中の経験則とロジックから脳が計算して弾き出した、思考のひとつの解であること変わりはないだろう」という。

つまり、前回の将棋のプロ棋士と同じような能力だろう。気を付けることは、直感というロジックを、左脳のロジックで上書きしないことだ。感じた違和感は、原因があるから感じたのだ。それを見逃すことは、自分で自分をだますことに他ならない。それは、終身雇用が70年そこそこの歴史しか持たないのに、昔からあると思ってしまうようなものだ。

 

後半へ続く