雑記

雑記

アートのマーケティング前線。売れる要素は前提だが

安いものより、高いが高品質のものを使いたいと思ってきた。若い時分は「コスパ」でモノを消費していた。安いモノは購入はし易いが、100パーセント気に入ってはおらず、我慢して使っていた。
年を重ねると、機能面ではなく見た目やデザイン、造形などに心地良さを感じる商品を好むようになった。仕立てたスーツと既製品では、なんとなく気の持ちようが違う(もちろん体形に合わせた服は着心地も違うのもあるだろう)。また着心地を比べるなら、仕立てと既製品のシャツを着てみるといい。肩への負担が如実に表れる。機能面は置いておいても、やはり人間は「見た目」で判断することが多い。

 

このようなことを切り口に、視覚情報のプロフェッショナルである芸術家、とくにアートの領域を一考していきたい。マーケティングがうまいと言われている3人の事例を見ていく。

 

 

ひとり目は村上隆さんだ。
現代アーティストの部類で、ドラえもんなどで有名な人である。彼の強みはアーティストとしてのセルフプロデュースだろう。
東京芸術大学修士号で次席だったため画家を断念した。日本のアート市場は海外ほど活性化していない。そこで海外で活躍した後で日本で仕事をするのだ。そして著名な方とコラボレーションをして、ますます知名度が上がった。

 

アーティストの中でマーケティングが上手い人という印象だ。ぼくが注目したのはふたつある。

ひとつは、一歩目に評価されやすい場所を選んだことだ。日本より海外市場の大きさから、海外で自己ブランドを構築、それを逆輸入したのだ。まあ、日本人は西洋のものをありがたがる気質(?)もあるが。
もうひとつは、有名人との共演だ。YouTubeでよくやる手法で、有名人のファンにプロモーションを仕掛けられる。

すごいと思ったのは、芸大次席で画家を諦めたことだ。自分だったらその道に才能があると思い邁進してしまうだろう。為末大さんも言っていた「明らかにして辞める」のは難しい。また、海外を選んだことからもロジックも大変強いと感じた。

 

頭を更新していくために観る。会田誠「性と芸術」に関する書評を読んで

美術は自分が感じたまま自由に見てよい、とよく言われているらしい。見た人が当人の感性で楽しめるのならば、そこに意見はない。あくまで楽しむだけなら、の話だが。

しかし美術を評価したい、意欲的に学び・感じ取りたい、競い合いたいと考えるならば、「見方」を知らずに鑑賞するのはナンセンスだろう。スポーツだって知識(とルール)を知らなければ、十分に楽しめない。サッカーはハンド禁止なのに、ハンドボールのように剛速球が飛び交っていたら熱狂してのめり込むことは無理だ。

美術は最低限の見方(と規則)がわからなければ読み解けないものであり、見たままを素朴に受け取るのは間違いであるからだ。美術に限った特別な話ではない。

 

「見る」ことはカオスなことだ。美術とはアーティストが美しいと感じたものを美しく表現するための方法ではないらしい。領域における文脈や思想、技術があって成立するということなのだろう。科学のように論理化され、哲学のように直観というか自然の摂理を一体化させたものだと感じた。
 
とするならば、会田誠の「犬」やその他の表現は、性を商品化したものではないと思う。ブルーピリオド的に言うなら「文字じゃない言語」であり、アートという媒体を通して伝えたかった「何か」だ。アートは不勉強なので彼が何を表現しているかはわからないが、平家物語諸行無常を表しているかもしれないし、2001年宇宙の旅のように宇宙への可能性を示しているかもしれない。

ニュースのような切り取られた情報の解釈することに似ている。自分にとって有用に取り入れるために、適切な「見方」の必要性を改めて感じた。

【書籍企画】文化人類学ではじめるマーケティング活動~文化が購買の決め手になる~

タイトル 
文化人類学ではじめるマーケティング活動~文化が購買の決め手になる~
 
コンセプト
根ざした文化の違いから、選択するプロモーションやコンセプト立案を変えることで効果を発揮する。新しい高解像度マーケティング手法である
 
解説

共通項を抑えてた学問、マーケティングや心理学などは重要である。しかし、国ごとに文化は違うので売れるものにバラつきがある。なぜなら、国ごと(もっと言えば地域ごと)に、国民に備わっている文化性は違う。西洋であれば個人主義ー西洋哲学や宗教(キリスト教)などを背景に、アジアなら東洋哲学、中華系思想や仏教、多神教を背景に国民が内包する観念とも呼ぶべき無意識の価値観が醸造されているからだ。だからこそ、個別具体的な理論に実現する、文化ごとの特性を論理化した文化人類学で差異を認識する必要がある。

例えば、漫画は日本は大きな市場であるが、海外でトップ市場を誇る米国でさえ250億円に留まり、世界では1000億円規模の市場でしかない。この違いは、何を好み忌避するかを決定づけている思想が根底にあると考えられる。それが文化性だろう
なので、米国やEUで売れている・良いとされているからと言って、日本ですぐ売れるわけではない。翻案のように、日本の文化人類学的にテラフォーミングした、観念に合う価値観を刺激する必要がある。それらの指標となるのが、文化人類学であり、小規模地域の考察が民俗学である。
 
対象  
マーケティング・企画職
・アイデアスキルを獲得したい人
・教養を得たい人
 
構成案
■ならした情報より、本質的な答えを
・平均的な答えが必ずしも正解ではない理由
ビッグデータよりシックデータ
・文化の違いが行動を規定する
文化人類学的な行動観察
行動経済学より具体的な考え
・個別具体的な事象を観察する
・普通より特異を重視する
・育った文化によって異なる行動特性
・都会と田舎の感じ方の違い
・多数に仕掛けるプロモーションはベストか
・本質を抽出する
マーケティングデータと思考錯誤
・データと感覚、どちらを選ぶか
 
著者候補
・磯野真穂(人類学者)
・小田博(人類学者)
安宅和人Yahoo CSO
 
類書
エスノグラフィー入門
柳田國男先生随行
折口信夫「まれびと」の発見
・いきの構造

漫画の成長にみる出版市場の希望

質量保存の法則や等価交換は、ある側面では正しい。マルクスも言うように、価値とは労働の総量である。いわゆるコスパの良い商品とは、品質より価格がお得と感じるものだ。それは高級ブランドも100均も、どちらも当てはまる。ただし、高級品はそれを感じられる感性があることが条件になるように思うが。

さて、出版業界の気になった項目を箇条書きにまとめてみた。

 

出版市場の変遷
・1950年は約300億円の市場規模であった
・60年には1000億円に増加し
・76年には1兆円マーケットに成長した
・96年にピークで2、5兆、
・~2006年ごろまで約2兆円規模を維持
・その後は減少を続け、2021年は約1.6兆
と山ありのグラフになる。

 

販売ルート別の売上
・書店ルートが約8000億円
インターネット書店ルートが約2500億円
電子書籍が約5000億円
・考察として、プラットフォームがビジネスに及ぼす影響ががわかる結果に
 
電子書籍の成長が目覚ましい
マンガ市場は95年に約6000億円のピーク
・2010年前半には約3000億円まで減少
・しかし、電子版の市場が開拓さえたため現在は約6000億円に市場が戻りつつある(紙とデジタルの割合は半々)
 
娯楽市場のエンタメ市場のひとつが、出版市場
・娯楽は約72兆円
・エンタメは約12兆円
 ・出版は約1/5を占める。
 ・その他のエンタメセグメントは動画(約4兆円)
 ・音楽(約1.3兆円)
 ・ゲーム(約1.7兆円)
デジタルコンテンツが成長していると言える
 
趣味に関するアンケート
・読書人口は約4000万人
・映画人口(約0.2兆円)は3500万人
・ゲーム人口は約2000万人
※数字に直結するわけではないことがわかる
 
フィジカルコンテンツとデジタルコンテンツの対比
・ここ5年で9:1から7:3ほどの割合になっている。
※エンタメ市場はむしろ市場拡大している
 デジタルコンテンツにマーケットを奪われたので、出版市場は減少してる
 
 
官庁の読書アンケートから見る世代パラダイム
10〜40歳まではほぼ同じ比率の読書率で推移。やや若輩の方が比率は下がるが、それは人口割合が高齢化してることが原因だと思う。50代に入ると5%に読書率が下がる。そして定年以降は10〜20%急激に下がる。
10ー40までは比率は同じだが、意識調査で「読書するべき時期」は10代が90%を占めており、ついで20代が10%で残りの世代は数%と落ち込む。
また、「読書は好きか」の割合は若年層が高く、年代が上がると下がる。
 
このことにより、ターゲットは20代中心かつ、10代も読めるようにする。そこに30代も参入可能という構成が望ましいのではないか。
また、高齢者本は結局マーケットが小さく、高品質のものがつくられづらい。あくまで著者は高齢者だが、若年層の課題解決ができるという建て付けが必要だろう。
結局、知能が低い大衆に媚びて本をつくろうと、本とは知恵の結晶であるため、低品質になり売れなくなるジレンマである。つまり、楽に逃げずに虚心坦懐にクリエイションするしかない。
 
とはいえ、全世代で読書をしない割合は増加傾向にある。おそらく、情報の入手を書籍から、インターネットや動画へ移行したのが原因だろう。情報の多様化とともに、書籍である意味を持たない書物は淘汰される。
これらが2005年以降、出版市場が縮小している要因となる。高齢社会がいちばんの近因ではあるが。
 
まとめ
IT革命により情報の氾濫は起きている。そして技術が便利になれば、知識の代替えにもなるようだ。それはエンタメ市場にも影響を与える。身体性よりデジタル性の娯楽市場が拡張している傾向が続くだろう。
出版業界として考えることは、デジタルエンターテイメントが主流になるなかで、どう読書体験という高級ブランドを構築するか。
デジタルという薄い娯楽は飽和状態になりつつある。なので、デジタルの代替えではない、アナログ的なエンタメを本で演出できれば文字もののシュリンクも留まると思う。それは漫画の表現や媒体としての強みが握っているだろう。

宇宙飛行士の本から学ぶ、メンタル法

宇宙飛行士はトップクラスに失敗できない仕事であり、そして厳密に結果を求めらる職業だと言えよう。ロケット、宇宙船、船外活動のロボットなど、上げればキリがない。その人材育成の投資費用は想像が難しいが、ビジネスという枠組みを超えていることは確かだろう。ということは、その現場プレイヤーである彼らにも相応の能力が求められる。その重圧は職業の比ではないと思う。そんな世界一タフな職業人たちのメンタル管理が気になり、複数冊読んでみた。ちなみにスポーツ界で多く導入されているメンタルトレーニングや、イメージトレーニングは、宇宙飛行士の訓練を転用したものらしい。宇宙飛行士のもとは軍隊のものだと思う。
 
各書の共通項はふたつある。
ひとつは本番前に用意しておくノウハウ。
・リラックス方法の確立
 例)自律訓練法、笑いやユーモアセンス
・準備
 あらゆる状況に対する対策を用意する。日々の努力を怠らない
もうひとつは本番でのメンタリティだ。マインドともいう。
・最善の結果にコミットメントするタフなマインド
 トラブル・失敗時のベストアクション。プライオリティ
 1歩間違えれば死ぬ、という状況でもベストを尽くす精神性
 最高パフォーマンスを発揮するメンタリティ。自然体、余裕
・最大効率を産む思考
 論理性。正解に辿り着く思考。恐怖を正しく知り、対処する
 辛い時のポジティブマインド
 
まとめると、日常のメンテナンスを怠らず、本番で最善を尽くすマインドセットということだ。日常のメンテナンスは取り組む量なので、個人次第だ。しかし、本番で能力を発揮し、トラブル時もパフォーマンスを下げず行動する、という精神性を獲得するのは容易ではないと思う。セルフトークマインドセットなどの、それらしきノウハウは提示されてはいる。それだけで十分とは思えない。これは今後も考えていきたいテーマである。
 
【参照図書】
・宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方
・一瞬で判断する能力
・宇宙飛行士の仕事力
・宇宙飛行士になる勉強法
・宇宙飛行士入門(ビジュアル豊富なので、実態を知るには最適)
・宇宙飛行士という仕事

現代の息苦しさをみんなが感じる前に、新興宗教はオンラインサロンを先取りしていた

いつの時代も大衆は不安があった。第二次世界大戦後、高度経済成長期を経験した集団は不安を感じることが少なかったのかもしれない。1960年代からバブル崩壊までの30年ほどをメインに社会人経験をしている人が、バブル後にいまは「不安の時代」の到来だとか、それを引き続いてリーマンショック後に不安は継続、日本は下り坂のような常識をつくったのではないか。
日本にいれば飢えはない。発展途上国のように10人産んで生き残るのが2,3人しかいない、ではなく医療も発展している。戦争もしないので徴兵令もなく、命の危険もない。

なぜ、現代において日本は不安である、とメディアは流すのか。

 

ぼくが考えるに、不安は最も儲かるビジネスだからだと思う。
不安はいつの時代も、豊かな人たちと比べることができるから、あえて創出されているのではないか。キリスト教は奴隷が多かったから、戦争は自国だけが今以上に豊かになりたいから。それを安易に克服しようと、自身を対価に支払う。不安ビジネスは合法的なドラッグのようなものじゃないか。

 

実利を得るために。ピタゴラス教団というオンラインサロン

という話を切り口に、オンラインサロンはなぜ流行っているのかを考えていきたい。
一番古いオンラインサロンは宗教だと思う。むかしは学術は集団ごとに秘蔵されていたらしい。なので、優れた知識を学ぼうと思ったら、入信する必要がある。「チ。」にもあるように宇宙のことを学びたかったら、キリスト教の天動説派でないといけないことからもわかる。

その先駆けっぽいものが、その中でピタゴラス教団というものがある。古代ギリシャの数学者であり、ピタゴラスの定理を発見した人だ。大学のようなもので、東大で学びたかったら、エ〇カンターレを信じよ、みたいなもの。当時は手段だったということだろうか。

 

現代の新興宗教こそ、オンラインサロンのパイオニア

時は飛び、昭和の宗教を例にあげる。○○学会と、○○の法で有名な宗教だ。このふたつに共通するものは「不安」からの解放だ。それではキリスト教と同じなのだが、現代だからかひとつ違いがある。

それは参加型なことだ。
どういうことかというと、宗教の活動をある程度主体的にやっている感があるのだ。役職を与えられ他のチームを率いたり、特定の目標に向かって行動したりなど。そしてそれが承認されるのだ。所属欲求と自己有用感の確認がなされているのだろう。キリスト教や仏教だと、祈ったり戒律だったり修行みたいで厳しい。

 

オンラインサロンとっぽいもの

ようやくオンラインサロンまできた。
いま流行りのオンラインサロンの特徴も新興宗教と同じだ。違いは不安の逃れ方だ。
宗教は漠然とした不安から逃れたいために、ひとつ絶対的なものを信じて没頭状態にする。フローともいう。つまり、何も考えられない状態にするのだ。

オンラインサロンの場合、それがビジネスであるのだ。自分のスキルを高めれば不安がなるなると信じるのだろう。オンラインサロン以前に、業界の勉強会や学会なども同じようなものだろう。
違いはオンラインサロンが新興宗教の色が強いのに対して、業界勉強会や学会はピタゴラス教団っぽいということだろう。ちなみに読書会もオンラインサロンに近いだろう。ただ、大衆のためのというところでは、新興宗教がオンラインサロンを先取りしていたことはある意味イノベーションと言えるかもしれない。

【書籍企画】人生の起業家になれば道は開ける〜まずはコスト削減からはじめましょう〜

タイトル 
人生の起業家になれば道は開ける〜まずはコスト削減からはじめましょう〜
 
コンセプト
社長だけではなく、個人が人生を上手く経営する方法。マインドと仕組み化で実現する誰でもできる費用削減方法
 
解説
投資ブームで積極的にお金を増やす意識が一般的になった。「さおだけや」で会計本ブームができ、財務諸表など簡単な会計知識の本も売れている。
しかし、あくまでサラリーマン教養の知識で、実生活で生かしている人は意識が高い人だけだ。そして意志の弱さや蔓延する欲望によって、お金を支払うことに脆弱だ。
本書ではお金を楽に増やすのではなく、痛みを伴う忍耐や思考停止を自覚した選択をすることにより、今あるお金を守り将来の「投資」とするノウハウを提供する。
具体的にはシェアリングエコノミーやサブスクリプション、値下げなど、必要のないモノや無自覚で消費しているものを減らすことに注力するとともに、行動経済学などの引っかかってはいけいない手法を解説。
 
対象
・20-40歳の男性
・女性全般
・世帯収入が低い層
 
構成案
■人生は、投資より経費削減からはじめよう
・投資は本当に有効か
・無意識に支払ているお金はなに?
・先にした方が有利な行動
■無自覚の強制徴収されるお金
行動経済学で買わされる仕組み
・至る所にマーケティングの罠がある
・その広告はあなたの意志ですか
■シェアリングエコノミーという病
サブスクリプションの費用対効果と仕組み
・家計の固定費を精算せよ
変動費で固定化しているコストを自覚する
■人生会計学でお金を管理しよう
・まずデイリープランを立てる
・年間で計算してみる
・会計士のここがポイント
・ライフイベントは必須ではない(マイホームなど)
 
著者候補
・会計系コスト削減に詳しい会計士
 コスト削減の意識、統計で計測する大切さ。そして所感と実態の違いすぎる数値
 
類書
・さおだけ屋はなぜ潰れないのか
・一度しかない人生を「どう生きるか」がわかる100年カレンダー